ダブルダッチで自分の殻を破り、新しい自分に出会う

ダブルダッチがもたらす変化

「ダブルダッチ」と聞くと、ロープを二本使うスポーツ、あるいはショーやストリートパフォーマンスを思い浮かべるかもしれません。二本のロープがリズムよく回る中を跳び、技を披露する競技であり、そのスリリングな魅力や、仲間との一体感が味わえるスポーツとして、子どもから大人まで広く愛されています。

私がダブルダッチに携わる中で感じているのは、技術を身に付けることの喜びだけではありません。このスポーツには、何かに挑戦し続けることで得られる「自分を超える」感覚があるのです。特に、子どもたちの指導を通じて、彼らがダブルダッチを通して自信を持ち、内なる「殻」を破りながら成長していく様子に、日々感動しています。

今回は、ダブルダッチをきっかけに、恥ずかしさや自信のなさを克服し、新しい自分に出会うプロセスについてお話ししたいと思います。自分の殻を破り、勇気を持って一歩踏み出すための第一歩を、ダブルダッチというスポーツがどのようにサポートしているかをご紹介します。

「自分の殻」とは何か？

ダブルダッチに挑戦する多くの子どもたちを見ていると、「自分の殻」を感じる瞬間があります。自信のなさや人前での恥ずかしさが、彼らの成長を阻む殻として存在していることが多いのです。これは、年齢に関係なく誰もが持つものかもしれません。大人でも、「やってみたい」と思うことがあっても、失敗や他人の目が気になって最初の一歩が踏み出せないことがあるでしょう。いわば、自分の殻は自分の内側に潜んでいる「恐れ」や「心配」を覆うものです。

特に子どもたちは、大人に比べて経験が少ないため、失敗や挫折への恐れを強く抱きがちです。周りと比較して自分を低く見てしまったり、「自分なんかがうまくいくわけがない」という感覚を抱きやすい年頃でもあります。このような殻を破る経験が、子どもたちの自己肯定感や自己効力感の向上につながるのです。

ダブルダッチが殻を破るきっかけに

ダブルダッチは、他のスポーツと比べても「殻を破る」ための要素が多いと感じています。例えば、二本のロープが一定のリズムで回り続ける中でジャンプを決めたり技を披露したりするには、正確なタイミングと集中力が必要です。最初は誰もがロープの前に立つとためらってしまうものです。「うまく跳べるだろうか？」「周りに笑われないかな？」といった気持ちが先立ち、足がすくむ瞬間もあるでしょう。しかし、この不安を乗り越えて一度でも成功の感覚を味わうと、子どもたちはみるみるうちにチャレンジすることの喜びを見つけ出します。

さらに、ダブルダッチは1人ではなくチームで行うため、仲間との連携が重要です。一人で跳ぶだけでなく、他のメンバーの動きやサポートも必要です。練習を重ねる中で「一緒に成功させたい」「失敗しても支え合える」といった協力の精神が芽生え、個々の殻が少しずつ柔らかくなっていくのが見て取れます。私自身も指導する際には、あえて「失敗してもいい」と伝えるように心がけています。失敗を恐れずに挑戦することで、殻を破る準備が整っていくのです。

「自分ではない自分」への変化の瞬間

私がこれまでに出会った子どもたちの中で、殻を破り新しい自分に出会った瞬間のエピソードがあります。ある子は、初めは控えめで人前に出るのが苦手なタイプでした。友達の輪に入ることすら緊張していた彼は、ダブルダッチに参加することで少しずつ変化していきました。最初は失敗ばかりで「やっぱり僕には無理」と諦めかけていましたが、周りの仲間や私の支えで少しずつ自信をつけ、最後には堂々とみんなの前で技を披露することができました。

このように、自分を変えるきっかけが「ダブルダッチの成功体験」にあると感じます。技が成功した瞬間、拍手をもらったり「すごい！」と声をかけられたりする経験が、彼らにとって大きな自信になります。新しい自分を感じる瞬間こそが、殻を破るプロセスの真骨頂であり、この経験が後の人生において大きな意味を持つのです。

パフォーマンスを通して得られる自己肯定感

ダブルダッチを続けるうちに、子どもたちは「できる」という感覚を自然と持つようになります。特に、観客の前に立ってパフォーマンスをする経験は、自己肯定感を育む大切な機会です。最初は「失敗したらどうしよう」と心配するかもしれませんが、観客の前で技を披露し、成功や失敗を共に経験することで、ただ上達するだけでなく「自分にはできる」と思える力が育まれます。

そして、自分に自信を持てると、それがさらに新しいチャレンジへの意欲をかきたてるのです。「もっと難しい技に挑戦したい」「次はこんなパフォーマンスをしたい」という希望が生まれ、自己肯定感の上に成長意欲が芽生えます。

殻を破ることで得られる未来

ダブルダッチで殻を破った経験は、子どもたちにとって「失敗しても良い」「挑戦することに価値がある」という考え方を学ぶ機会です。これは、今後の学校生活や社会に出たときのチャレンジ精神にもつながると考えています。失敗を恐れず挑戦し続けることを知っている子どもは、困難な状況に直面しても自分を信じることができるからです。

また、ダブルダッチは個々の技術や成長だけでなく、チームで活動することで得られる協調性や社会性も養われます。殻を破り、周囲と協力しながら自分の力を最大限発揮する経験が、未来の様々な場面で生かされることでしょう。

おわりに：新たな自分との出会いを応援するために

ダブルダッチはただのスポーツではありません。自分を超え、殻を破るための最高のフィールドです。私は、指導者として子どもたちの成長の瞬間に立ち会えることに喜びを感じています。子どもたちがダブルダッチを通して新しい自分と出会い、未来に向かって自信を持って歩んでいけるよう、これからも支え続けていきたいと思います。殻を破る勇気を持ち、一歩を踏み出すその瞬間が、彼らの一生の糧になることを願っています。

Takuya