-Dutch Irisができるまで-episode0

挫折という名のジャンプ台

みなさん、人生に挫折ってつきものですよね。私も、かつてそれにどっぷりはまっていた時期がありました。大学受験に失敗し、浪人生活を送りながら、これまで続けてきたサッカーでも結果が出せず、しかも足の大怪我で手術まで受ける羽目に。まさに人生の三重苦という時期がありました。「なんでこうも次から次へと悪いことが重なるんだ?」と思いながら、自信も希望もすっかり失ってしまいました。

当時の私は、自分が何をやってもダメな人間なんだと思い込んでいました。浪人生活で孤独を感じ、サッカーでは怪我で思うように動けず、過去の努力が無駄に思えてならなかったんです。「この先どうなるんだろう?」と不安ばかりが募り、未来に対する期待なんてゼロに近かったです。

ダブルダッチとの偶然の出会い

そんな時、大学に進学して出会ったのがダブルダッチでした。「どうしてダブルダッチ?」と聞かれると、自分でも「何でだろう?」と思うんですけど、きっと心のどこかで「もう一度、何かに打ち込んでみたい」という気持ちがあったんだと思います。それに、ダブルダッチってちょっとかっこいいし、何か新しいことに挑戦してみようという気持ちになったんです。

最初は、ロープに絡まってばかりで全然うまくいきませんでした。でも、続けるうちに少しずつコツを掴んで、跳べるようになってきたんです。最初はちょっとしたことでも、「自分って意外とできるかも?」って思える瞬間があって、それがすごく嬉しかったんですよね。

何より、仲間と一緒に息を合わせてロープを跳ぶという一体感が、今までに経験したことのない楽しさでした。サッカーはどうしても個人の技術や結果が重視されがちだったけど、ダブルダッチはみんなでリズムを合わせて一つの動きを作り上げるスポーツです。その過程で自然と自分に対するネガティブな気持ちも薄れていきました。

結果じゃなくて、過程を楽しむってこと

ダブルダッチを続けているうちに、私は大事なことに気づきました。それは、結果にこだわるだけじゃなく、過程を楽しむことの大切さです。今までは何をするにも「うまくやらなきゃ」「結果を出さなきゃ」と思い込んでいました。でも、ダブルダッチでは、上手く跳べるようになるまでの練習そのものが楽しいんです。失敗しても、「次はどうやったらもっと良くなるだろう?」と考えるようになっていきました。

特に印象に残っているのは、小学校でパフォーマンスを披露した時のことです。練習の成果を子どもたちの前で発揮する機会だったんですが、正直、最初は緊張しました。でも、いざ始めると、子どもたちが目を輝かせて見ているのに気づいて、「ああ、楽しんでやることが一番大事なんだな」って自然に感じました。結果や完璧さを求めるよりも、その瞬間を一緒に楽しむことが重要なんですよね。

また、講習会を開いて、子どもから大人までいろんな人にダブルダッチの楽しさを伝える機会が増えました。特にフリースクール(不登校の子どもたちが通う学校)での経験は、私にとってとても貴重なものでした。彼らが最初はロープに引っかかっても、少しずつコツを掴んで跳べるようになっていく姿を見ていると、自分がダブルダッチを始めた頃を思い出します。そして、そんな姿に勇気づけられ、私自身ももっと頑張ろうという気持ちになれるんです。

自己肯定感という最高の技術

ダブルダッチを続けていく中で、私の中で一番大きく変わったのは「自己肯定感」です。昔の私は、何をやってもうまくいかないと感じ、自分を否定しがちでした。でも、ダブルダッチを通して、少しずつ自分を肯定できるようになったんです。「失敗しても、それを乗り越える力が自分にはあるんだ」ということを感じるようになりました。

特に不登校の子どもたちとの活動では、自分自身の成長だけでなく、彼らが自分を少しずつ肯定していく姿を目の当たりにしました。ロープをうまく跳べた時の彼らの笑顔や、「できた!」という達成感に満ちた顔を見ると、本当にダブルダッチが持つ力を感じます。結果にこだわらず、失敗しても挑戦し続ける姿勢を大切にしてほしいと思います。

インストラクターとしての喜び

そして今、インストラクターとしてダブルダッチを教える立場になりました。教えるのは決して簡単なことではありませんが、生徒たちが少しずつ上達し、自信をつけていく姿を見るのは、何よりも嬉しい瞬間です。最初はロープに引っかかってばかりいた子たちが、ある日突然軽やかに跳べるようになる瞬間は、まるで魔法のようです。そんな時、私は彼らと一緒に「やったね!」と喜び合うことができるのが、本当に楽しいんです。

特に、小学校やフリースクールでの講習会は、毎回新しい発見がたくさんありました。どんなに引っかかっても諦めないで練習する子どもたちの姿に、私自身も励まされてきました。彼らの中で「できた!」という瞬間が訪れると、まるで自分のことのように嬉しくなります。教えることを通して、自分もまた成長させてもらっているんだと感じます。

ダブルダッチがくれたもの

ダブルダッチに出会ってから、私の人生は大きく変わりました。何かに全力で取り組むこと、失敗してもまた立ち上がること、そしてその過程を楽しむことの大切さを教えてくれました。特に、いろんな場所でパフォーマンスをしたり、ワークショップを開いたりして、多くの人とダブルダッチを通じて繋がることができたのは、私にとって大きな財産です。

これからもダブルダッチを続けて、もっと多くの人にその魅力を伝えていきたいと思います。そして、私が経験したように、挫折や失敗を乗り越える力をダブルダッチを通じて伝えたい。皆さんも、もし「自分には何もできない」と思っているのなら、一度ロープを跳んでみてください。もしかしたら、そのロープの向こうに新しい自分が待っているかもしれませんよ。

ダブルダッチは、ただのスポーツではなく、人生の困難を「飛び越える」力を与えてくれる存在です。これからもこの力を信じ、多くの人にその楽しさと意味を伝えていきたいと思います。

Takuya

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